前回の記事の続報です。
この事件をめぐっては、「動画が拡散している」、「学校が謝罪会見した」というニュースだけが大々的に報じられ、取って付けたように「誹謗中傷も悪いことなのでやめましょう」と付け加えられるのがせいぜいといったところです。
しかし、ここで問いたいのは、動画がなくて証言や診断書だけでも(あるいは、拡散されずに内々で動画を見せられただけでも)同じ対応・扱いになりましたか、ということです。どうしても、動画の内容自体から、直接の加害者でもない学校が謝罪会見までする程度の事件だったとは考えられないのです。
もちろん、加害生徒の処分は必要でしょう。犯罪は犯罪として、警察も入るべきです。民事上も、相当の賠償責任を負うでしょう。ただ、妥当な処分としては、最終的に少年院送致がせいぜいのところで、仮に逮捕されたとしても実名報道はされていない(許されていない)はずです。こういった処分がなされない場合に、それを促すにとどまるのであれば、それはまだ「正義」があると言えそうです。なお、今までの社会がどうだったかは、直接関係しません。
そのことを忘れたのか、暴行の程度ではなく大きな騒ぎになったからという理由の方で、言うべきことも言わずとりあえず謝っておくという学校も学校で誤ったメッセージを発することになりますし、そこだけを大きく報じて誹謗中傷の本質(資格もないのに卑劣な快楽に溺れる犯罪行為であること)を強調しないマスコミ(特にオールドメディア)もマスコミです。
誹謗中傷を非難すること自体は、加害者が「適正な」処分を受けるべきとすることであり、決して「加害者をかばう」ことではありません。それなのに、そのことを説明することなく、「被害者の味方対加害者の味方」という、もはや訳の分からない正誤二元論的思考(何でも正しいか間違いかの2つだけに分けたがる考え方)や善悪二元論的思考に陥っていることが明らかな「攻撃者」らに向けて、現状のような発信・論調であれば、彼らは「正義」の誤信を深めていくでしょう。
彼らが、一時的に「オールドメディアは加害者の味方」と間違ってとらえても、メディアの側は痛くも痒くもないはずです。いかにメディアが多様化したとはいえ、「オールドメディア」の影響力がまだ大きいことは明らかです。現状は、火消しのふりをして火に油を注いでいるとしか言えません。
警察としても、数が多すぎるのと匿名性が高いことで、全部への対応は難しいのでしょうが、悪質なものだけでも、積極的に立件・発表して、今後のための抑止力にしてほしいところです。
誹謗中傷事件で雀の涙ほどの賠償金しか認めてこなかった裁判所も変わる必要があるでしょう。
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