法律家が、ある結論を論証する場合に、2つの方向があると言われています。
1つは、正しいと「広く認められてきた」前提から論理的に積み上げていく方法(A)です。もう1つは、「直感的に正しいと思ったこと」が先にあって、それが批判や検証に耐えることを根拠にしていく方法(B)です。
これらは、どちらが優れているということはなく、どちらもよくあることとされています。社会科学は、数学や科学とは異なり、唯一絶対の正解があるわけではなく、説得の勝負になることが多いからです。
Aの方法を用いるときの注意すべきなのは、結論が「常識」から外れて受け入れがたいものになりやすいため、「前提」側の信用性がゆらぐことがある点です。
これに対し、Bの方法を用いる場合に注意すべきは、どうしても「先に「自分の側に心地よい」結論ありき」という性質を持つため、「批判や検証に耐える」かどうかの見極めの方が甘くなりがちである点です。
ここをもう少し説明してみます。
例えば、予備知識なく日常生活を送っているとすれば、人間の「直感」は、地面はどこまでも平らで動いてはいないという説を支持するでしょう。現に、アメリカを含む一部の国では、そういった説の方を支持する人々が、無視できない割合で存在します。
また、あるワクチンの副作用が報じられれば、そのワクチンは危険なものであるという「印象」を持つ人も多いでしょう。しかし、それは、「悪魔のくじ引き」という避けられないごく一部の事例であって、報じられない大多数の「感染を免れて救われた人々」がいるという事実は見過ごされがちです。
さらに言えば、他人に対する「差別」は、ことごとく「直感」から生じます。性別、肌の色、言語、宗教、民族、性的指向・性自認等々、どれも「なんとなく自分が上」、「なんとなく気持ち悪い」が先にあって、それを、力(武力・経済力)や数の上で上回る側が、その「直感」を正当化した結果として生じたものです。克服されるまでは、Bの方法が「誤って」用いられて、他者を抑圧するという性質を持ちます。
ここまでご理解いただければ、標題は、Aの方法による「論証」が成功したことになります。いかがでしょうか?
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