再審法改正が進められていますが、「改悪」の危機です。
今日(令和7年10月30日)の新聞報道によれば、法務省が証拠開示に関する規定の素案をまとめました。開示の範囲が広い案と狭い案の2案を示したとのことですが、政府内では、なんと、「狭い案」の方が有力だそうです。
その「狭い案」になれば、再審請求の理由に関連する範囲内でしか、裁判所が検察側に証拠の開示を命じられないことになっています。具体的には、被告人側が提出した新証拠やその主張に関連する証拠だそうです。
しかし、報道によれば、これを、見直しのきっかけになった「袴田事件」に当てはめた場合、無罪の決め手になった証拠は埋もれてしまう可能性が高いようです。これでは、袴田氏の人生の大半(死刑の恐怖を考えればそれ以上)という尊い犠牲を払ってなお、検察側の「焼け太り」を認めることにしかなりません。
そもそも、税金を使って証拠を集めておきながら、その証拠が「検察のもの」という発想自体が理解できません。また、「狭い案」派いわく、確定判決の重みが薄れる、とのことですが、証拠に基づいて覆るような、要は真実に合致しない「確定判決」に何の「重み」を認めるべきというのでしょう。真実はいつも1つです。裁判所が真実を見極める能力を欠いていることを、なぜ「権威」らしきもので保護(糊塗)しようというのでしょう。刑事訴訟法1条の理念はどこへ行ったのでしょう?
まだ、国会で議決されたわけではなく、法案にもなっていない段階ですが、世論が大きく左右していくことが見込まれますので、広く注視していただければと思います。無実の人の冤罪、「明日は我が身」です。あやしいことをした人だけが捕まるのではありません。あやしいと「捜査機関が(勝手に)にらんだ」人が捕まっているのが現状です。
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