先日(令和7年12月1日)のブログに書いた、首相の「そんなことより」発言ですが、3日、釈明らしきものがありました。

それによると、「どちらも大切であり、優先度合いを示す趣旨でない」そうです。

国会答弁なので、事前に質問通告があって官僚が内容を起案しているはずなのですが、こうなってしまいました。

まず、問題の本質は、そもそも設定された話題を転換しようと(転換して逃げようと)したこと自体であって、優先度合い云々は二の次です。

その点を措くとしても、今度は日本語の能力に疑問がわきます。まず、「そんなこと」に優先順位を低める(さらに言えば、侮蔑に近い)ニュアンスがあると思われますが、ニュアンスの問題であり、まあいいでしょう。問題は、「より」です。比較や起点の意味がある格助詞ですが、起点の意味でないことは明らかでしょう。「優先度合い」以外に、何を比較したのですか、という話です。

おそらくですが、「反発を受けているから、うまく逃がして。できれば謝罪・撤回せずに。」という指示に対して、官僚が「これならギリギリ。」という答弁案を起案し、首相が採用したというのが実際のところでしょう。

しかし、結果として、問題の本質をそらし、日本語の意味を「改変」するという、二重の意味で「とんでもない」釈明になっていることは、指摘しておきたいと思います。もちろん、全責任は、答弁案を「採用」した首相にあります。党首討論という限られた時間の中でしたから、「とっさの発言で言葉遣いを間違えた」と素直に謝れば、まだダメージは少なかったと思います。

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松本 治
松本 治
「弁護士は、社会生活上の医師である。」この信念に基づき納得の解決を目指します。
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